入院から出産後まで

出産では痛みや不安などから、今までにない心身の混乱を感じるものです。出産のシグナル、入院のタイミング、陣痛中や、分娩室での過ごし方、産後の入院生活を前もって知ることで、心構えをしていきましょう。

バースカンガルーケア(早期母子接触)、母子同室についても詳しくご案内いたします。

出産のシグナル

出産の準備が整うと、心とからだからシグナルが発せられるようになります。

  • トイレに頻繁に行きたくなる
  • お腹の張りや前駆陣痛(不規則な軽い生理痛のような痛み)を感じる
  • 夜中に目が覚めるようになる
  • おしるし(子宮口が開くときの出血・少量でドロッとしている)がある
  • 便通が良くなる、または軽い下痢になる
  • 巣作り本能(家を片付ける、食料をため込むなど)を感じる
  • 出産のことをいろいろ考えて、不安になったり楽しみになったりする
  • 上の子の赤ちゃん返りが目立ってくる

入院のタイミング

陣痛のリズムが整うと、生理痛よりも強い痛みを伴う規則的なお腹の張りが繰り返されるようになります。
おおよそ以下の間隔になったら、入院準備をして病院までご連絡ください。

初産婦 10分以内の間隔(2~3時間様子をみて、痛みが強くなってくる場合)
経産婦 10~15分の間隔(前回の出産経過によっては個別で相談)
以下の症状がある場合も電話でご相談ください
  • 破水(自分では止められず、温かいお湯のようなものが流れる)
  • サラサラした多めの出血
  • 持続するお腹の張りや痛み
  • 赤ちゃんの動き(胎動)が普段より少ない

陣痛中の過ごし方

テレビドラマのように突然出産が始まることは、まずありません。陣痛中は自分のからだの反応にあわせて、過ごしてみましょう。

  • からだの冷えを感じる場合、入浴や足湯、湯たんぽやカイロなどで「からだを温める」
  • 痛みを乗り越えるホルモン(エンドルフィン)作用で眠くなる場合は「横になって眠る」
  • からだが楽になるよう痛むところをさすったり、押したり「マッサージ」
  • 長丁場の出産を乗り切る体力ために「食事と水分の補給」
  • 膀胱が産道を邪魔しないよう「こまめにトイレ」
  • 赤ちゃんが産道を降りてくるのを助けるため「姿勢を色々かえて過ごす」
  • 不安や緊張が強いと痛みを強く感じるため、陣痛の前後に深呼吸をして「リラックス」

分娩室での過ごし方

お腹の中の赤ちゃんは、頻繁な陣痛に頑張って対応しています。陣痛と陣痛の合間は、赤ちゃんにとって酸素を充分に取り入れ、体力を回復する時です。深呼吸をして全身の力を抜いて、リラックスを意識しましょう。

分娩室での過ごし方

子宮口が開いてくるとともに、痛みが強くなり、からだの内側から押されるような感覚がでてきます。怖くなり、もうダメ、逃げ出したいと思うようになるかもしれません。しかし、いきみたい感覚が出てくれば誕生までもう少しです。無理に力を入れず、からだに任せましょう。自然ないきみは、お通じがしたくなる感覚に似ています。

赤ちゃんの頭が見え始めます。自分の手で触れてみると元気が湧いてきます。つるん!と痛みと共に赤ちゃんが誕生します。

赤ちゃんとの初対面です。お互いの労をねぎらいましょう。羊水に濡れ赤みがかった紫のからだが、みるみるピンクになっていきます。温かいバスタオルとお母さんの肌によって、冷えないよう温めましょう。
バースカンガルーケアの開始です。(しない場合も臨機応変に対応いたします)

産後の過ごし方

バースカンガルーケア(早期母子接触)

バースカンガルーケア(早期母子接触)

ガイドラインに則った、器械やスタッフによる見守りによって、安全に留意しながらバースカンガルーケア(早期母子接触)を行っております。
赤ちゃんへの効果として、呼吸や心拍・体温が安定し、胎外への適応を促します。

バースカンガルーケアをしながら、妊娠を支えていた臓器である胎盤が出るのを待ちます。
赤ちゃんが生まれて3~30分ほどです。

産道に傷がある場合は局所麻酔を行ってから縫合します。体内に吸収される糸を使用するため、抜糸はありません。
出産後2時間は分娩室で経過をみます。

バースカンガルーケアを希望されない場合も、柔軟に対応いたしますのでご安心ください。
病棟勤務のスタッフは全員、新生児蘇生法(NCPR)の認定者です。

赤ちゃんとの過ごし方

今を精一杯生きる赤ちゃん。その赤ちゃんとの日々を楽しみましょう。

早期の母子同室

出産後、お母さんと赤ちゃんが離れずに過ごすことは自然であり、スムーズな育児のスタートを迎えることができます。赤ちゃんと同じ部屋で過ごしながら、赤ちゃんとの生活に慣れていきましょう。
抱っこ、授乳、オムツ交換など育児全般のサポートをいたします。

赤ちゃんへの愛情表現のひとつである「抱っこ」。母乳育児は自然と「抱っこ」の機会が多くなりますので、赤ちゃんへの愛情が深まり、母としての実感、絆を深めることができます。

赤ちゃんはしばらくの間、日中寝て夜起きることが多いです。少しでも時間をみつけて休むようにしましょう。 

母乳育児を応援します

母乳育児を応援します

当院はBFH(赤ちゃんにやさしい病院)認定施設としての経験を活かし、母乳育児を希望される方には、母乳育児が軌道にのるよう、卒乳(断乳)までの長期に渡りサポートいたします。

お母さんから赤ちゃんへの贈り物であり、赤ちゃんの心とからだの栄養となる母乳。ちょっとしたコツで楽に母乳育児は軌道にのることができます。

赤ちゃんの「おっぱいを欲しがるサイン」が分かるようになると、早めにサインをキャッチして授乳を始めることができ、赤ちゃんもお母さんも落ち着いて授乳することができます。

母乳育児をしないという選択であっても同様に、赤ちゃんとの絆づくりを応援します。
人工乳での育児を希望される方は、作り方、飲ませ方、飲ませる量の調整方法など、退院後もご自宅で困らないように支援いたします。